じっと静かな春夜ー高北幸矢板絵新作展 [アート]
かつて「何か」だった板が素材です。
「何か」だった痕跡だったり、さらにその朽ちる過程が見えている板。
「作品にする前にすでに何割かはできている。一から作っているわけではない。」と言う。
真白なキャンバスと対峙するのとは違うということらしい。
さらに「円空もこんなふうに仏を刻むことを楽しんだのではないかと思う。」と。
作家が意図しない形、傷だったり歪みだったり。その魅力を生かして制作することの楽しさ。
朽ちかけた板は制作の途中でもどんどん崩れたりして形が変わる。
「額も無いのでよごれたときどうしたら良いですか?」という購入者には「気になったら洗ったり拭いたりしてくださって良いです。ここまで育った板ですからその続きをあなた流に育ててください。そのまま汚れるのもあなた流です。」と答える。
時間は同じように流れ、それぞれのようにも流れる。