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御囲章木版画展ー「忘れていくこと」 [アート]

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今日の話題は御囲章さんの「目」の話です。

彼は生まれた時から弱視です。つまり視力があまりないということです。眼鏡で矯正しても0.01くらいだと言います。私弱視ではありませんので眼鏡をかければ正常視力ですが、裸眼で0.02くらいなので彼の見え方がどんななのかわかります。
世の中はぼんやり色で分かれていて、よっぽど目の近くに物を持ってこないと物のエッジを見る事は無い。この事実を彼の作品世界と切り離す事はできません。

小さいときからモコモコしたものにとても興味があったそうですが、物にエッジが無い世界とは秋の雲にも似た曖昧なモコモコに近い。そんな視覚の世界で生きてきたことは彼の個性です。彼の作品にはエッジはあります。でもその個性的な「目」で見て来たからこそのエッジ。彼の個性的な視覚世界から彼の作品は生まれて来た。

版木を彫る時、手の感覚で掘り進めると言います。触覚で描く。「手でだいたいどんな風に彫れているかわかる」と。御囲章の手は「目」でもあります。

実は物の見え方はみんな同じではありません。どう見えているのか微妙な違いをそれぞれが説明できるわけではないので気付かないでいるだけ。「物」は「目」を通して見ているのでその違いだけでも世界観は変わるはずです。ましてや触覚も視覚にしている御囲さんなのだから個性的な世界観が生まれるのは当然と言えば当然なのだと思う。


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