アマリリスー加藤鉦次絵画展 [アート]
今回の加藤鉦次さんの個展では花が真ん中に描かれている構図がとても多い。
それで「今回は花がテーマなんですね」とみなさんおっしゃいます。
それはとても素直な観方です。
それでもその花を一生懸命追おうとすると、なんだかちゃんと見えない。
せっかく花を描いているのならもっとはっきり描けばいいのにとさえ思ってしまう。
一方「花を描かれたのですね」と言われた加藤さんは「なんだか気恥ずかしい」と。
「花を描いているようでその向こうの何か。空気だったり風だったりを描いているんです。だから花を描いていない訳ではないけれど、花かと言われると不思議な気持になるんです。」と。
元々散歩の途中の花が美しいと思って描き始めたのに、その向こうの何かに夢中になってしまっているのだそうです。
そう思って過去を振り返ってみると「祭」や「からくり人形」を描いている時でもその向こうを描いていたことに気がつくと言います。
時間や空気の流れや揺らぎ。
それがゆっくりと見る側に近づいてくるように思う。