近藤美和個展ー最終日 [アート]
「In paradisum〜祈りの歌〜 近藤美和個展」は本日最終日です。(午後5時まで)
近藤美和渾身の作品の数々。
優しさに包まれた会場では「いつまでもここにいたい」と嬉しいお言葉を何人かの方からいただきました。
次回は4月18日(木)より「山口マオ新作展」です。20日(土)には木版画のワークショップ(要予約・有料)とギャラリートーク(予約不要・入場無料)もあります。
是非お楽しみに。
お菓子の家ー近藤美和個展 [アート]
今回の近藤美和さんの個展はほとんどが自分が描きたかった作品です。
この絵はお仕事の依頼があって描いた絵です。もちろんお仕事の絵が描きたくない絵というわけではありません。近藤さんにとって絵を描くと言うことがそもそもとても好きなことなのですから。
それでも仕事というのはこんな絵描きたいあんな絵描きたいと自由な発想の中で描くのとは違います。
クライアントの求めているものが描けているのかどうか、つまり相手の観たい絵になっているのかどうかを考えながら描きます。イラストレーターとはそういうお仕事なのです。だから相手の求めている以上の絵が描けることはプロとしてのポテンシャルの高さということを意味します。
これはある音楽家の楽譜の表紙になったのだそうです。
松重閘門ー近藤美和個展 [アート]
ハンス坊ちゃんハリネズミー近藤美和個展 [アート]
グリム童話「ハンス坊ちゃんハリネズミ」をテーマに描かれた絵です。
*「ハンス坊ちゃん・・・」についてはWikipediaなどでお調べください。
動物の絵も得意な近藤美和さん。
ドイツでの幼少期の生活の中で見聞きした経験からかモチーフの選び方やデフォルメーションに日本離れしたものを感じます。
日本では子供向きに描かれた絵は可愛くて優しい。色もきつい色はなるべく使わないようにすることが多い。ヨーロッパではそうばっかりではありません。
近藤さんはそんな環境から得て来た感性があるように思います。
またこの絵は白バックのモノクロ。これも先日紹介しました黒バックとはまた違った趣があります。
モノクロなのに色を感じさせる豊かさがあります。もしこの絵に色を付けるとしたらどんな色を彼女は選ぶのだろうか。気になるところでもあります。
大雨時行(たいうときどきふる)ー近藤美和個展 [アート]
時の司ー近藤美和個展 [アート]
慈雨ー近藤美和個展 [アート]
ここ1、2年、モノクロの作品を「小さな絵の展覧会」や「クリスマス展」で発表することが多かった。手応えもあったのでこの個展をエントリーする際に、「モノクロ作品を中心に個展を展開しようかと思います」と近藤美和さんからのコメントがありました。結果的にはモノクロだけの構成にはなりませんでしたが、このシリーズはかなり大きな意味があったように思います。
ブルーグリーンを基調に美しい色をバランスよく描くのが近藤さんでした。本人は「色を使うのが苦手で、モノクロの絵を描くのは逃げなんじゃないかと長く封印してきました。」と。
イラストレーターとしてカラフルに作品を描けないのは良くないと綺麗な色を使うことを心がけて来たのだそうです。でもそろそろモノクロの封印を解いてもいいのではないかと描き始めたのだそうです。
色を削ぎ落とすということはいろいろな要素を集約することにも繋がります。
それまでの制作の姿勢もその中で見つめ直すことがあったのではないでしょうか。
モノクロ作品が近藤作品の新しいジャンルとして加わったのですね。
大地に平和をー近藤美和個展 [アート]
近藤美和さんは長くコーラスのレッスンを続けています。
そこでは宗教曲を歌うことも多いと言います。特に深い信仰心を持っているという訳ではないけれど、歌うことで祈りの気持になるとも言います。
「in terra pax 大地に平和を」を始めとして歌のレパートリーの中から歌詞を絵にしているものが数点あります。歌っていると場面が頭に浮かぶ。それを素直に絵にしたのです。
「祈りの歌」は「祈りの絵」になる。
歌うことで祈りになるように、近藤さんは描くことで祈りを体現するのだと思います。
これは教義に基づく信仰ではありません。一つ一つの宗教を越えた、というより共通のと言うべきかもしれませんが、とても大きな意味での祈りなのだと思いました。