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御囲章木版画展ー「残る者へ残す事」 [アート]

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今回の個展で一番大きな作品がこれです。大作です。
   920×600㎜

この密度で版画を彫るのは物理的にかなりエネルギーがいる事なのだと思います。
作品そのものにエネルギーをかけざるを得ない何かが作家の中にあるという事でもあります。
単純に大きさとエネルギーに関係があるとは言いませんが、さらっと軽い気持ちでないことは間違いありません。

それにしても御囲さんの場合小さな作品も大きな作品も面や線の密度に違いがないのも特徴の1つだと思います。これには彫刻刀の幅の問題があるとか。その幅には太いのや細いのもあるのだそうですが、画面が5倍になれば5倍の幅の彫刻刀があるかと言うとそうではない。そこまでの差は無いのだから大きな画面だと緻密にならざるを得ないということなのです。

さあこの「残る者へ残す」
膨大なエネルギーを注いでどんな思いを込めているのだろうか。
彼のプライベートな事情を書くと、ここ数年で大切な家族との別れを何度か経験しました。その気持ちを整理するのに言葉では表せないものを納得できないものを作品を制作する事で昇華する・・・。

「輪廻転生」と簡単に言う事ができない何かを作品に込める。
「言葉にできるのだったら作品にする必要はない。」とも。

「この心の問題を言葉で表すと何だかちょっと違うような軽いような、とにかく説明はできない。ただ思いの深いときは大きな作品で自身が格闘する。それしか方法は無い。」と。

大きな作品は物理的に手数もかかるし、緻密な計算のもとに制作を進めなければならないのです。
だからそれなりの覚悟無くしては取りかかる事すらできない。その覚悟と思いの深さは正比例する。

で、出来上がったらだいたいはがっかりするのだそうです。そういうことじゃないって。

「今度こそちゃんと表現できるようにって、また作品つくってしまうんですよね。」と本人の弁。

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