御囲章木版画展ー「滞り無く降りて欲しい」 [アート]
作家にとって技法というのは表面的なことで本質的なことではありません。
その技法を使って制作するのはそこに至るまでにたまたま出会ってしまい、それが作家としての体質によく合ったということにすぎない。
御囲章さんにとっての木版画も大学で出会ってしまった1つの技法でした。
問題はそれを使って何を知らしめたいのか、どう表現したら観る側に伝わり自分が納得できるかなのです。
彼の一連の作品を見れば一目瞭然、モチーフには植物が多用されています。
植物は彼にとってどんな存在なのか。
「朽ちかけた植物に心が震えます。桜の古木だったり、間もなく季節が終わり枯れてしまいそうなトマトだったり。木でも草でも、成長著しい状態ではなく朽ち果てようとしているものにです。」と御囲さんは言います。そういう植物が彼の心に何を残していったのか。少しずつ解き明かしていけたらいいなと思っています。